PROJECT02

空港

空に羽ばたくための道

空港 空に羽ばたくための道

高品質を誇るガイアートの事業のなかでも、より高い精度とスピード感を求められる現場が空港だ。航空機の発着がある時間帯は作業ができないため、深夜11時から明け方までと作業時間が限定される。小石一つ落ちていることも許されない現場の緊張感とやりがい、独自技術“高強度PRC版(高強度プレキャスト鉄筋コンクリート舗装版)”の施工の難しさについて、空港の現場に携わってきた社員・田上が語る。

施工管理 田上 直也

施工管理 田上 直也 Naoya Tanoue

1990年生まれ、2009年にガイアートへ入社。宮崎営業所に配属された。その後、福岡空港や宮崎空港での舗装工事現場を経て、2018年に那覇空港の誘導路の舗装工事現場で施工管理者を務めた。

空港で求められるのは、
徹底した安全管理の意識。

深夜の那覇空港。現場入りを前にした事務所では、30名ほどのプロジェクトメンバーが揃ってネームプレートを外し、ポケットの中の物を机の上に取り出していた。「じゃあ、みなさん、本日もよろしくお願いします。」——声を掛けたのは、ガイアートの施工管理者・田上直也。これまでに福岡空港・宮崎空港・那覇空港において、誘導路の舗装を手掛けてきた。
「『忘れ物・落し物だけは絶対にしないように。事故につながるからな』というのが、初の空港現場だった福岡空港の工事現場で先輩に言われたこと。航空機のエンジンが、異物を吸い込んでしまうためです。なので、安全ピンで留めているネームプレートでさえも事務所で外していきますし、ポケットの中には極力、何も入れません。作業後の現場には小さな石ころ一つ落ちていないように、2時間ほど掛けてみんなでチェックをしています。チェックの時間だけは絶対に短縮できないので、いかに効率よくその日の工事を終わらせるかが、空港現場では重要になります。」

空港で求められるのは、徹底した安全管理の意識。

スピードと高い精度を
両立させるために。

空港の誘導路の舗装現場は、航空機の発着がない午後11時から午前6時までと定められている。午前6時には完全に退出しないといけない一方で、最後の落し物などの確認のほかにも、誘導路に留めてある数千本のネジが緩んでいないかなど、膨大な量のチェックをする必要があることから、余裕を持って5時終了を目安にしている。そのため、実質的な作業時間は4時間ほど。工期も厳密に限られており、「次に何をするべきか」を常に把握しながら、指示を出す。

スピードと高い精度を両立させるために。
スピードと高い精度を両立させるために。

「福岡空港の工事をしていた頃の自分はマイペースで、目の前のことしか見えていなかったのですが、先輩から『空港は、道路の現場とは違う。作業できる時間が限られているのだから、次の工程、次の次の工程まで考えて動かないと』と教えてもらって、あ、そうなんだと。自分はまだまだですけどね。あとは、作業員の方たちが焦りがちなので、クオリティについても意識してもらうように声を掛けたり。というのも、空港で用いられている独自技術“高強度PRC(プレキャスト)版”は、下地の精度が重要なんです。」

ミリ単位の誤差で下地を仕上げる。

“高強度PRC版”は、アスファルト舗装の施工とは工程が異なる。通常、道路は3層ほどの路盤を重ねるように現場で舗装していくが、“高強度PRC版”の場合は一番上のコンクリート層を工場で製造。出来上がった板状のパネルはトレーラーで現場に運び、下地となる路盤の上にクレーンで吊るして設置していく。

ミリ単位の誤差で下地を仕上げる。 高強度PRC版の設置
ミリ単位の誤差で下地を仕上げる。 高さの調整

「パネルは1枚あたり、15m×2.3mで、四方に継ぎ目が発生します。航空機が誘導路を移動するにあたって、段差による衝撃が発生しないように、下地の高さはミリメートル単位で仕上げなければなりません。空港の誘導路舗装は、スピード感と高いクオリティを求められる現場なんです。正直、今でもプレッシャーを感じます。設置するパネルは航空機の移動に支障が生じないよう設置時の向きが定められていて、四方の位置を間違えられないこともあって最初は大変でした。」

現場を重ねる度に強まる信頼関係。

施工管理者としての力量が強く問われる現場である一方、完成後の達成感はひとしおだ。
「一緒に作業した協力会社の方たちと、打ち上げをするんです。空港の工事は特殊なので、作業をお願いする協力会社は毎回同じ。現場を重ねるほど、信頼関係が強くなっているのを感じます。打ち上げでは『次はこういう機械を導入したらいいんじゃないか』『こういう進め方はどうだろう』と、反省点などについて話し合い、実際にそれが次の現場で生かされています。」
現在は、那覇空港の工事のために沖縄県に住んでいる田上。実家のある宮崎県に帰省する時は、自分が手掛けた誘導路を機内から眺めるという。
「ああ、きれいにできてるじゃん、って思いますね。自分が利用者側になると、改めて、交通インフラを支える仕事をしているんだなと実感します。同時に、普段、どれだけ自分たちがいろいろなことに注意をして、仕事をやっているかを思い出すと、誇らしいような感情も湧いてくるんです。」

現場を重ねる度に強まる信頼関係。
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